離れていることを感じさせないテレワーク環境を目指して
事業継続性のための危機管理,地域活性化などの観点からテレワークが注目されています.
現在一般的なテレワークは週に1日程度,仕事を家で行なう部分在宅勤務ですが,このような社会課題を解決するには,必要なとき以外は離れて仕事をするような完全テレワークが有効だと考えられます.一方,テレワークの割合が高くなると,互いの状況が見えなくなることによる問題点も指摘されています*1.
オフィスには様々な情報が流れています.職場にかかってきた電話の様子から新しい仕事の予兆を捉えたり,たまたま出会った知り合いとの立ち話から新しいアイデアが生まれたり・・・,その場にいないと得られない情報が沢山あります.
ソフトウェアのデバッグなどで同僚とPC 画面や資料を一緒に見ながら作業することも良くあります.このような作業も,その場にいるからこそスムーズに行なえる仕事の一つです.
我々は超臨場感コミュニケーション技術によって離れていてもオフィスにいるときと同じように働けるテレワーク環境の実現を目指しています.特にコミュニケーションにフォーカスした技術開発を行ない,今までオフィスに集まることで実現されていた上記のようなことをテレワークでも行なえるようにしていきます.
そのために,複数のカメラ・マイク・センサを用いてオフィスの様々な場所の映像や音を伝える技術,映像や音,センサ情報からオフィスや働いている人の状況を推定する技術,等身大ディスプレイによって共同作業を支援する技術や,これら技術を搭載した超臨場感テレワークシステムの研究開発を進めています.また実証実験や評価に関する検討も始めています.
超臨場感テレワークシステムの研究開発は,まだはじまったばかりです.我々のこれからの活動にご期待ください.
1.佐藤彰男,テレワーク「未来型労働」の現実,岩波書店,2008